F&Aレポート

F&Aレポート 2019年2月10日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

わくわく日本語講座 2 敬語は距離間隔 どんな球を投げれば相手が無理なくキャッチできるか

 敬語は、大きく分けて「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」がありますが、話す相手との距離(人間関係)によって、“あらたまり度”が変わります。職場でも相手との距離間隔が、言葉の差になって表れます。状況に応じた敬語の幅を身につけるとコミュニケーションは、よりスムーズになります。

  1. 「説明してくれない?」
    →同期、後輩への依頼
  2. 「説明してくれませんか?」
    →同期、後輩、親しい先輩などへの依頼
  3. 「説明してくださいませんか?」
    →少し上の先輩やリーダー、課長などへの依頼、お願い
  4. 「ご説明いただけないでしょうか?」
  5. 「ご説明いただいてよろしいでしょうか?」
    →(4)(5)は、部長、社長、お客様などへの依頼、お願い
 同じことを言っているのですが、この(1)から(5)は、明らかに印象が異なります。これらは、あとになるほど敬意が高くなるのですが、あくまで一例であって、こんな明確な分け方があるわけではありません。要は相手との関係の親しさ、上下関係、年齢差、さらには他部課の上司か否かによっても表現は変わってくるでしょう。

謙譲語 軽い謙譲語 丁寧語
資料をお届けいたします 資料をお届けします 資料を届けます
ご意見をお伺いしたいのですが ご意見を伺いたいのですが 意見を聞きたいのですが
お目にかかれて光栄です お会いできて光栄です 会えて光栄です
書類を拝見します 書類を見せていただきます 書類を見せてもらいます
その件は承りました その件は聞いております その件は聞きました
尊敬語 軽い尊敬語 丁寧語
もうお出かけになりますか もう出かけられますか もう出かけますか
ご説明になった通りです 説明された通りです 説明の通りです
外からお電話が入っています 外からお電話です 外から電話です
今日はお休みになっています 今日はお休みです 今日は休んでいます
食事にいらっしゃいませんか 食事に行かれませんか 食事に行きましょう
「丁寧な感じで話せばいい」は危険!
×「こうして柔らかく煮込むと、お年寄りでも美味しくいただくことができます」
 「お年寄りでもいただくことが・・・」が間違いです。「いただく」は謙譲語ですから、人に向けていうことはできません。ここは尊敬語で「お年寄りでも美味しく召し上がることができます」が正しい表現です。
×「お肉をひたひたに浸けたら、冷蔵庫で冷やしてあげてください」
 「お肉を・・・冷やしてあげてください」が間違いです。
 「あげる」も謙譲語、人に何かをして差し上げる、というときに使いますが、この場合の「冷やしてあげる」対象は「お肉」ですから、これでは人ではなく、肉に対してへりくだっていることになります。より丁寧さを出そうとして「?あげて」というのはわかりますが、敬語を使う対象ではない物に対して使っているのは、おかしな敬語と言われても仕方ありません。「冷蔵庫で冷やしてください」の丁寧語で十分です。