F&Aレポート

F&Aレポート 2018年8月10日号     Presented by Aquarius Intelligence Institute Inc.

日本語トレーニング(8)オフィスのことば

1、取引先と話すときのことばづかいは、社内の場合とはまた少し違います。
 次の例で良いと思うものは○、いけないと思うものは×をつけてみましょう。

  1. 「はい、ではその件はお目にかかってからということで」
  2. 「部長に『お前から伝えよ』と言われましたので」
  3. 「○○が、明日伺うと申しております」
  4. 「わざわざご足労いただいて、すみません」
  5. 「はい、ただいま当社においで願っております」
  6. 「こちらは当社の下請け会社の○○さんです」
  7. 「社長さんはお元気でございますか」
  8. 「貴社の○○部長さんには、いろいろとお世話になっております」
回答
  1. ○ (2)× (3)× (4)× (5)× (6)× (7)× (8)×
  2. 自分たちの話をこうして直接話法で言うのは、あまりよくない。「私からお伝えするように」と、間接話法で言うのが望ましい。
  3. 「伺う」では、○○氏がいかにも相手を見下しているように聞こえる。「お伺いすると申しております」と言いましょう。
  4. 「すみません」と詫びる必要はないし、恐縮の意味ならば、ちゃんと「恐縮です」と言った方がいい。恐縮の意を表す「すみません」は、軽い印象があり、目上の人には使えないことばと思った方がいいでしょう。
  5. 来てほしいと頼んでいるのではなく、すでに来ているのだから「願っている」というのは妥当ではない。素直に「おいでいただいています」でいいです。
  6. 「下請け会社」と当人の前で言うのは非常に失礼です。「協力会社」の方がふさわしい表現です。
  7. 「お元気でございますか」→「お元気でいらっしゃいますか」
  8. 「貴社」は文章での敬称。口頭では「御社」がいい
2、オフィスでよく交わされる会話ですが、どこかヘンです。
  1. 「○○さんが合いの手を打ってくれたおかげで、課長を説得できました」
  2. 「キャンペーンは、成功裏のうちに終わりました」
  3. 「その計画は、失敗する可能性が強いような気がする」
  4. 「相手の返事がないので、日程はいまだに未定なんです」
  5. 「あいつ、がんばると言った舌の先も乾かぬうちに、もうだらけてるよ」
 回答
  1. 打って:合いの手は手を打つことではない。本来は「間の手」と書き、邦楽の歌と     歌の愛代に入る楽器演奏のこと。「合いの手を打つ」ではなく「合いの手を入れる」     が正しい。
  2. 成功裏のうちに:「裏(り)」は経過を経過を表す。「成功のうちに」「成功裏に」でいい。
  3. 可能性:「恐れがある」「心配がある」「不安がある」とすべき。
  4. いまだに未定:「未」は「いまだに」の意。
  5. 舌の先:「舌の根も乾かぬうち」が正しい。