ボストーク -- Boss Talk --

湊町レター Letter From Minato-machi 2013年9月1日 27

 2013年も9月になりました。この数年の特徴のように感じますが、雨が降って突然風が涼しくなり、夏があっという間に過ぎ去りました。蝉の声も知らない間に小さくなっています。昔は・・・と言う表現が正確かどうか分かりませんが、晩夏というか、季節の移り変わりを感じた時間がもう少しあったような気がします。涼しくなるのは良いこととしても、夏の暑さで頑張ってきた体には、この季節の変化は体にストレスをかけます。特に今年は酷暑だっただけに、皆さんの相当無理をしてるはずです。温泉やお風呂に浸かるなど、体を温めることを心がけたいものです。

 さて、今回は、税務調査の話。秋と言えば、食欲の季節ですが、税務調査の季節でもあります。税務署は、毎年7月10日人事異動があり、税務調査が始まります。年が明けると、確定申告が始まるなど税務署内部も多忙となることや、法人数が多い3月決算法人の申告が5〜6月にかけて行われること等も9〜11月にかけて税務調査がラッシュになる原因のようです。ところで、この税務調査と言えば、税務署の職員が会社や自宅に来て資料を確認したり、事情を聞いたりして、問題点を指摘するというのが一般的ですが、ここにきて新しい動きがあるようです。

 8月28日の日経新聞には、「不動産所得 申告は正確に」という記事が掲載されています。内容をかいつまんでお伝えすると、今まで税務調査があまり行われていなかった不動産所得について、税務署のデータから平均的な数字と比べて突出した経費等がある場合(例えば、高額の修繕費が計上されている等)に、「お尋ね」を納税者に送付し、自主的な修正を求めるというものです。

 ちなみに、従来からも「お尋ね」という文書はありましたが、これは課税の可能性がある取引(例えば、土地の売買や相続等)に対して、申告が必要と思われる納税者に対して、税務署からその旨を確認する文書でした。今回のものは、税務調査を前提とした納税者への確認と考えてよく、対応次第で税務調査に移行する可能性も高いと思われます。

 なぜこのようなことになっているのでしょうか。その背景として、まずKSKという申告データを活用するケースが増えてきたこと、次に税務調査の効率化が求められ、税務署職員だけには頼れないことが考えられます。確定申告についても、最近は電子申告を前提に、一般の納税者がコンピューターの前で操作することが増え、以前のように経費として認められるかどうかを職員と激論する機会もほとんどなくなりました。申告のシステムも、人を通してではなく、効率性・合理性を重視した形に変化しているというわけです。

 このお尋ねの対策ですが、まず何よりも当初の申告をしっかりしておくことです。例えば、修繕費が高額になったのであれば、その背景や支出の内容をしっかり記録しておく必要があります。つまり税務調査があったことを念頭に、準備をしておけば、簡単に対応できるはずです。合わせて、もし税理士に申告を依頼している場合は、税理士とのコミュニケーションもしっかり取っておくべきだと思います。裏を取られるような難しい取引でなければ。

 なお、不動産所得のお尋ねは、当面、東京国税局管内で試験的に行われているようです。今後、お尋ねを活用した方式は、全国の国税局でも展開されると想像されます。お尋ねが来ても来なくても、正確な申告を心がけるようにしましょう。