ボストーク -- Boss Talk --

湊町レター Letter From Minato-machi 2013年5月1日 23

 GWが終わりました。今年は前半と後半の間に3日間の平日が入ってしまったため、勇気がないと長期休暇になりづらい面がありましたが、比較的天候に恵まれたこともあって、リラックスしてお過ごしになった方も多いのではないでしょうか。

 さて、2月連続で掲載した金融ですが、この原稿を書いている時点では、為替・株ともに大きな変化はないようです。しかし、住宅ローンの金利が引き上げらるなど、注意したい指標がありますので、楽観的な方向に走りすぎないようにしたいものです。

 この1ヵ月で世界を駆け巡った事件に、ボストンマラソン爆破事件があります。米国で起きるテロ事件は、外から持ち込まれるものでしたが、今回は犯人が米国在住であったという点が注目されています。米国の活力の要因の一つは、世界中からの移民を受入れですが、今回の事件はその結果起きてしまいました。だから移民政策は間違いだというのはあまりに短絡的ですが、移民政策ではほとんど鎖国状態の日本が、仮に今後移民受入れを検討するのであれば、このあたりも真剣に議論されるべきだと思います(どうもほとんど検討されてないようですが)。

 ところで、この事件でもう一つの注目されるのは、ボストン警察からの発表がTwitterで行われたと言うことです。Twitterとは、Facebookと並ぶSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)であり、インターネットを通じて、世界中の人と行う情報交換のツール(素直に日本語に訳すと「道具」)です。日本でも、スマートフォンが普及してきましたが、スマホは携帯電話ではなくパソコンの延長線にあるものです。つまり、掌の上にあるパソコンであり、回線がつながっていることで(ここが電話の延長)、世界中とつながります。私のスマホでも、事件の経過が米国の新聞からの情報として、テレビニュースより圧倒的に早く伝わってきました。

 ところで、情報入手は組織を維持するために非常に重要な問題です。組織の意思決定は、情報に基づいて行われます。従来、その情報は組織のトップが握り、それ以外の構成者とは共有されていませんでした。したがって、トップの判断に情報という面で反論することは難しかったわけです。しかし、上のような情報拡散が可能なツールが普及したため、トップと同じ情報を、組織に属する人が全員持つことができるようになったわけです。その結果、ある情報に対してどのように行動すべきか?という問題について、多様な意見が出てくるようになります。つまり、組織としてのまとまりに欠ける、表現を変えると、トップの権威がなくなってきました。中国が、言論統制に力を入れるのは、このためです。情報化社会の問題の一つに、個人情報の流出があります。しかし、情報が特定の人によってコントロールされてしまうと、組織の問題をチェックできず、構成員の同意がないまま誤った方向に進んでしまう可能性もあります。

 夏の参院選を控えて、改憲論議が盛り上がっていますが、国のあり方についてはこの情報を動扱うかという深い問題も控えています。改正手続だけの狭い議論ではなく、もっと深くて幅広い議論が行われるべきです。

 明日の日本のために、スマホとFacebookやTwitter、始めませんか?