ボストーク -- Boss Talk --
2013(平成25)年も1ヵ月が過ぎてしまいました。今年の冬は厳しい日が続きます。2月と言えば、1年でもっとも寒いと言われますが、2月を乗り切れば3月。春はすぐそこに来ているわけです。春に向かっての1ヵ月だと思えば、少し楽しくなってきませんか?
さて、総選挙の影響で遅れていた税制改正、例年より2ヵ月遅れの1月24日に、自民党税制調査会から「平成25年度税制改正大綱」が決定・発表されました。
今回は、大きく3本の柱で更正されています。1つは従来型とも言えるもので、その時の政策の中心として改正されるもの。具体的には、生産設備への投資額について税額控除を認める「生産等設備投資促進税制」や、給与の支給額が増加した場合の税額控除である「所得拡大促進税制」等があります。2つめは、民主党政権の社会保障と税の一体改革で進められる消費税引き上げに関連するもので、所得税の最高税率の引上げ、相続税の基礎控除の引下げ(現状の6割水準に)と並行して行われる贈与税の緩和措置等。3つめは、消費税引上げに伴う住宅ローン控除等の適用延長措置です。
その他、民主党政権では、税制改正の審議状況がインターネットでも公開されていましたのに対して、自民党政権では、インナーと言われる人が詳細を決めていく党税調という組織が中心となり、審議の内容も大半が特定のメディアから伝えられるだけでした。
そのような税制改正ですが、ここで取り上げたいのは、「消費税の軽減税率」です。消費税は、所得が低い人たちも負担するため、税率が高くなると格差の問題が拡大することもあり、軽減税率の導入が検討されています。今回の改正では具体的な導入は今後検討となりましたが、なぜそうなったのか、少し考えてみたいと思います。
軽減税率とは、特定の物品に対する消費税の税率を軽減しようとするものです。例えば、主食である米は、多くの人たちが購入するものですから、この税率を例えば5%のまま据え置くと言うことが考えられます。低所得者対策という点で言えば、この理屈は正しいものです。しかし、問題は税制における具体的な仕組みです。まず米と言っても、どこまでが米なのか?と言う問題があります。日本酒やお酒にも米は入っていますし、パンまで米でできてしまいます。お寿司も米です。次の問題は、取引ごとに0%、5%、10%を区別していかなければならないということです。そのためには、インボイスという付表のようなもので管理します。現在のIT社会では、当然、納品書等にバーコード等の情報を付して電子上で管理を行うことになると思われます。しかし、消費税を前提とする電子化の仕組みが何も決まっていません。日本中で行われるすべての商取引とその当事者をどのように管理するのか?民主党政権でも検討されたマイナンバー制度の導入も念頭に置き、この問題を議論して行くのではないかと想像されます。このように、単純に税率を下げるだけの問題では済まないということです。仕組みを構築するのにも巨額の投資が必要になりますし、事業者の負担も発生します。今後の政府の検討に注目したいところです。