ボストーク -- Boss Talk --

湊町レター Letter From Minato-machi 2012年12月1日 18 Web版
2012/12/10

 11月に入った途端ノーネクタイ姿が消えたと書きましたが、12月では、突然冬の到来です。紅葉〜道上に散っていく落ち葉を楽しむといったちょっと寂しいけど、オシャレな晩秋を感じる余裕もなく、ヒートテックやコートが欠かせない冬に突入してしまいました。これからはノロウィルスやインフルエンザの季節です。忘年会も始まり、慌ただしい季節ですが、体調管理を心がけましょう。

 さて、その冬の到来と同じく、慌ただしく動いてきたのが政治です。野田首相の突然の解散で、慌ただしい年末に一気に総選挙となりました。また、第三極と言われるように、新しい政党が公示までの短い期間で離合集散を繰り返しています。

 今回の選挙の特徴は、1)政党がたくさんあること、2)論点が明確であること、3)いったん自民党政権を交代させた経験に基づくこと、4)FacebookやTwitterといったSNSが日本国内でも定着してきたことといった点が挙げられます。個別に考えてみます。

1)政党がたくさんあること
今回の選挙で、現政権与党である民主党が政権を維持することはまず困難と予想されています。注目は、自民党政権が復活できるのか、第三極がどこまで伸びるのか、仮に選挙結果が混乱した場合はどのような政権となるのか、いずれにしても来夏に予定される参議院選挙までは混乱が予想されます。

2)論点が明確であること
今回の選挙の論点は、震災復興、原発、TPP、外交、消費税増税を含む社会保障と税の一体改革の行方、金融政策、経済政策、雇用、少子高齢化等々、この数年間(実際は数十年間)で積み上がってきた問題に一定の方向性を見つけなければいけないタイミングの中での選挙です。仮にどこかの政党(もしくはその連立)による政権が出来上がっても、問題が具体的なものであることから、数年の間に解決の兆しが見いだされなければ、次の選挙ではまた政権交替が起きる可能性は大だと言えます。

3)いったん自民党政権を交代させた経験に基づくこと
自民党が野党に落ちるという経験は、日本人にとって貴重なものだったと思います。今回は、民主党がダメだから単純に自民党という選択肢ではなく、論点を整理しながら、政策をベースにしっかり次の政権を考えるべきです。第三極が現時点で政権を取ることは難しそうですが、これからも選挙や政党再編が続く可能性は高く、新しい政治の形を国民が選択する時には、民主党政権時代のことを振り返りながら、厳しい目で選択の結果を見るべきだと思います。成熟と言ってしまえば、言葉では簡単ですが、欧米で行われる政権交代をしっかり勉強すべきだと思います。

4)FacebookやTwitterといったSNSが日本国内でも定着してきたこと
 アラブの春がFacebookやTwitterで広まったように、SNSが多くの人に利用されている中で始めて迎える選挙ではないかと思います。実は、SNS等を使ったインターネットで発信する政治家は多く、それが公職選挙法の関係で、選挙期間中は発信できないということとなり、ある意味で新しい広報に選挙がどう対応するかという問題提起にもなっていますが、実際の選挙にSNSが影響を与えるのかどうかと言うのも注目したいところです。SNSで世界は良くなるとは思いません。しかし、何らかの影響力を持つ存在になっていると思います。インターネットには良いところ悪いところ両面がありますが、人をつなぐ一つのパワーになることは間違いありません。

 欧米を見ると、どんな政権であっても、まず現在の政権を否定しようとするのが一般的になっているようです。特に欧州では、財政赤字削減のため緊縮体制を取る→これに対する強い反発が起きる→EU各国からの調整→緊縮体制の流れがEU全体に起きているように見えます。特に高い失業率がベースにあり、国民の不満が根強いだけに、国家運営は今までになく厳しい状況と言えます。

 日本の場合、財政赤字は高額であるものの、そこまで厳しい状態には至っていませんが、対岸の火事では決してないわけですから、この機会にしっかり議論を進めておきたいところです。

 さあ、今回の結果はどのようなことになるでしょうか?