ボストーク -- Boss Talk --

湊町レター Letter From Minato-machi 2012年9月1日 15
[2012/9/11]

 9月になりました。まだまだ残暑が厳しい毎日ですが、蝉の鳴き声もアブラゼミからツクツクボウシに変わり、雨が降って風を涼しく感じる日も増えてきました。空気も乾燥し、空も高くなってきたように感じます。少しずつですが、季節は秋に変わりつつあります。現代人の毎日は、何かに追われるように慌ただしいですが、そんな小さな季節の変化を感じる余裕を持って過ごしたいものです。

 8月のお盆に西予市の実家に帰っていた時の話。一人で風呂に入ると、先客が。メガネを外していたので、最初は何か分からなかったのですが、こぶし半分くらいの大きさのカエルでした。実家の周りは畑だらけで、彼(彼女?)のジャンプ力からすれば、うちの風呂に入るのは簡単なことだったのでしょう。しかし、さすがに一緒に風呂に入るわけにはいかず、ゆでガエルになる前につかまえて、自然に帰しました。

 この話をFacebookでしたところ、結構盛り上がったのですが、さて、問題はこのゆでガエルです。ゆでガエル現象とは、Wikipediaによれば、下記のように解説されています。

『2匹のカエルを用意し、一方は熱湯に入れ、もう一方は緩やかに昇温する冷水に入れる。すると、前者は直ちに飛び跳ね脱出・生存するのに対し、後者は水温の上昇を知覚できずに死亡する』
 およそ人間は環境適応能力を持つがゆえに、暫時的な変化は万一それが致命的なものであっても、受け入れてしまう傾向が見られる。例えば業績悪化が危機的レベルに迫りつつあるにもかかわらず、低すぎる営業目標達成を祝す経営幹部や、敗色濃厚にもかかわらず、なお好戦的な軍上層部など。
 税理士会などで、ITに関連する仕事をする機会が多い私にとって、この話は大変意味があります。申し上げるまでもなく、世界におけるIT化は日々進展しています。石けん一つをAmazonで買う時代です(冗談ではなく、昔学校の手洗い場にあったレモン石けんを探していたら、結局行き着いたのがAmazonでした)。道に迷ったら、スマートフォンで検索すれば解決します。この3年を考えただけでも、ITは私たちの生活に溶け込んでいます。問題は、どのように解釈すれば良いのか?ということです。

 デジタルデバイド(情報格差)と言われて久しいですが、IT化に対応できる人と出来ない人の格差は、ますます大きくなっています。経済的な問題は別として、従来の仕事のやり方で問題がないのだからとあえてIT化に取り組まない人たちがいます。確かに、新しいものに取り組むにはお金が必要ですし、ストレスもかかります。また、セキュリティや通信の問題もあります。もっと考えれば、膨大なデータ集積が進んだビッグデータをどう取り扱うかという問題もあります。しかし、IT化が進んでいる中で、これを無視することは出来なくなってきており、仮に利用しないという選択肢があるとしても、特に世の中全体の問題を考えるには、進化の内容を正確に把握することがとても重要になってきています。申し上げるまでもなく、ゆでガエルになってはいけないのです。